賃貸アパートで子育てをしていたある日、管理会社から連絡が入りました。
「下の階の方から、足音がうるさいとクレームが来ています」
正直、頭が真っ白になりました。子どもはまだ小さく、走り回るのは当然のこと。でも、だからといってクレームを無視するわけにもいかない。引っ越したくても、会社の家賃手当の都合ですぐには動けない。
そこから、防音対策についてひたすら調べる日々が始まりました。
マットがいい、シートがいい、ボードを貼れ、いろんな情報が出てくるけれど、賃貸でも使えるのか、費用対効果はどうなのか、実際のところがよくわからない。体験談も少なく、結局は自分で試行錯誤するしかありませんでした。
この記事では、木造賃貸アパートの2階で実際に施した防音対策と、かかった費用をそのまま公開します。完璧な答えではないかもしれませんが、同じように悩んでいる方の参考になれば嬉しいです。
この記事でわかること
・実際にかかった防音対策の費用の内訳
・使った材料と選んだ理由
・設置の順番と作業の流れ
・材料を安く手に入れる方法
・対策後に得られたこと
当時住んでいた家の状況
まず前提として、どんな環境での話かをお伝えします。
当時住んでいたのは築3年の木造アパートの2階。全4世帯の小さな建物で、間取りは2DKでした。子育てには正直なかなかハードな環境です。
木造というのがやはり大きくて、鉄筋コンクリートに比べると音が伝わりやすい構造です。子どもが走るたびに、下の階にどう響いているか気になって仕方ありませんでした。
予算の都合もあり、全部屋への対策は断念。寝室以外のリビングとキッチン(合計13畳)を中心に対策を施すことにしました。
防音対策にかかった費用の合計
結論から先にお伝えすると、今回の防音対策にかかった費用は合計87,400円でした。
内訳はざっくり以下のとおりです。
・壁(6畳部屋の一面):27,100円
・床(13畳分):60,300円
決して安い金額ではありません。正直「本当に効果があるのか」と不安になりながらの出費でした。ただ、このまま何もしないでいるよりは、できることをやり切る方が精神的にも楽だと判断しました。
※金額は2019年当時のものです。現在は価格が変動している場合があります。
施した防音対策と材料の詳細
対策の対象は大きく2つ、声などの空気を伝わる音と、足音など床を伝わる音です。それぞれに合った材料を選びました。
遮音シート
遮音シートは、空気の振動によって伝わる音(声や生活音)を跳ね返す役割をします。
ただし、遮音シート単体では効果が薄く、吸音材と組み合わせて使うことで初めて効果が高まります。これを知らずに遮音シートだけ貼っても意味がないので注意が必要です。
実際には、隣人に接する壁と床に設置しました。使用したのはサンダムCZ-12という製品で、10m×3本で15,800円(ネットで購入)。
厚さ1.2mmとそこまで分厚くないのですが、その分扱いやすく、賃貸でも取り入れやすい素材です。
吸音ボード
吸音ボードは、遮音シートが跳ね返した音を吸い取る役割です。この2つをセットで使うことで、防音効果がしっかり発揮されます。
壁への設置順は「吸音ボード→遮音シート→壁」という構造になるよう組みました。
吸音ボード単体では壁に固定するのが難しいため、吸音ボード取り付けジョイナー(エの字・コの字型の柱)も合わせて購入しました。ジョイナー代が4,000円。
吸音ボード本体はMGボード(ロックウール吸音ボード)という製品で12,600円(ネットのホームセンター)。合計で16,600円かかりました。
ロックウールは不織布で包まれた構造になっているため、カッターでカットしてサイズ調整も可能です。コンセント部分も穴を開けて対応できたので、見た目もそこまで悪くなりませんでした。
防振マット
防振マットは、足音など床を振動として伝わる音を軽減するための材料です。遮音シートや吸音ボードでは対処しにくい「ドスドス」という足音には、このタイプが有効です。
リビング(6畳)とキッチン(7畳)の合計13畳分に設置しました。
使用したのはサンダムE-45という厚さ4.5mmのマット(910mm×910mmサイズ)。24枚セットをメルカリで45,000円で購入しました。新品で買うとかなり高くなるので、フリマアプリで探したのは正解でした。
ジョイントマット
防振マットを敷いた後、そのままでは正直見た目がよくありません。また、防振マットのサイズが合わない箇所はカットせずに重ねて対応したため、部分的に段差(不陸)ができてしまいました。
それを隠す目的と、少しでも足音をやわらげる効果を期待して、上からジョイントマットを敷きました。
床の構造は下から順に「床→遮音シート→防振マット→ジョイントマット」です。
ジョイントマットもメルカリで10,000円で購入。これでようやく普通の家らしい見た目になりました。
設置の順番と作業の流れ
材料が揃ったら、次は設置です。順番を間違えると効果が半減するので、流れを整理しておきます。
1. 養生
賃貸なので、壁や床を傷つけたり汚したりしないことが大前提です。新聞紙を敷いた上に材料を置き、養生テープでところどころ固定しました。
この養生をきちんとやっておくことで、退去時の原状回復トラブルを避けられます。面倒でも省かないようにしましょう。
2. 遮音シートの設置
遮音シートは丸めた状態で届くため、広げると丸まり癖がついています。床に敷く分はまだ扱いやすいのですが、壁への設置はかなり苦労しました。
重くて丸まろうとするシートを押さえながら、タッカーと養生テープで留めていく作業は、一人ではかなりきつかったです。できれば2人でやることをおすすめします。
3. 吸音ボードの設置
ジョイナーをあらかじめ両面テープで壁に接着し、その溝に吸音ボードをはめ込んでいきます。
サイズが合わない部分はロックウールを不織布ごと一度外し、カッターでカットして再度包み直す方法でサイズ調整ができました。コンセント部分も穴をあけて処理できたので、見た目はほぼ普通の壁と変わりません。
4. 防振マットの設置
遮音シートの上に、防振マットを並べて敷いていきます。基本的に置くだけなので、作業自体は難しくありません。
ただ、将来の引っ越し時にメルカリで売ることを想定して、カットは一切しませんでした。サイズが合わない箇所は重ねて対応しています。重なった部分はジョイントマットを敷けばほぼわからなくなりました。
5. ジョイントマットと壁紙の設置
最後に仕上げです。防振マットや吸音ボードがむき出しの状態では見た目がかなり悪いのですが、上からジョイントマットを敷き、壁には糊付き壁紙を貼ることで、ごく普通の部屋の雰囲気になりました。
糊付き壁紙はホームセンターで購入できます。ペタペタ貼るだけなので、DIY初心者でも対応できました。
材料を安く手に入れる方法
防音対策は決して安くない買い物です。少しでもコストを抑えたいなら、メルカリやジモティなどのフリマ・地域掲示板をこまめにチェックすることをおすすめします。
今回の防振マットとジョイントマットはどちらもメルカリで購入しました。防音材は「引っ越しで不要になった」「リフォームで余った」という出品が意外と多く、状態が良いものをかなり安く手に入れられます。
また、撤去後に状態が良ければジモティで販売することもできます。実際に今回使った材料の一部はジモティで売ることができ、トータルのコストを少し回収できました。
タイミング次第ではありますが、購入前にまず一度フリマアプリを確認することをおすすめします。
対策を終えて得られたもの

その後どうなったか
防音対策を施した後、管理会社からのクレーム連絡は来なくなりました。
ただ正直に言うと、音が劇的に小さくなったという実感はありません。
防音の専門家によれば、防音マットを敷いても下の階に伝わる音の大きさはほとんど変わらないケースが多いそうです。
それでも対策をしたことで得られたものがあります。
「できることはすべてやった」という気持ちの余裕です。
また具体的な対策の記録があることで、管理会社や会社への相談時に「これだけやっています」と説明できる材料になりました。結果として引っ越しの交渉もスムーズに進めることができました。
賃貸での子育て騒音問題は、完全に音をゼロにすることは難しいです。ただ「やれることをやった」という事実は、自分自身のメンタルを守ることにもつながります。
同じ状況で悩んでいる方に、少しでも参考になれば幸いです。
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